主力のナスダック100トリプル(TQQQ)の注文が新しくできなくなったらしいけど、トライオートETFっていまからはじめる価値はあるのかな???
2021年7月末にナスダック100トリプル(TQQQ)の自動売買の新規発注が停止されて以降、このような疑問を持たれている方は多いと思います。
トライオートETFの口座開設をしようと思っていたけど、TQQQの自動売買取り扱い停止のニュースを聞いて思いとどまってしまった人も結構いるはず。
しかし、そのままトライオートETFを資産運用の選択肢から外してしまうのはもったいない!
結論から入ると、トライオートETFは現在でも他のリピート系自動売買と同等以上の利回りが見込め、運用の選択肢としては十分なスペックを持ちます。
トライオートETFで取り扱いのある全29銘柄を検証し、実際に約4ヶ月、様々な銘柄で自動売買を走らせた結果も出しました。
本記事では、以下のことについて書いています。
ちょっと長い記事になりますが、「トライオートETFって今からでも儲かるのかな?」と口座開設を迷っている人の背中を押す内容になっているはずです。
なお、トライオートETFの有効性の検証は、以下の手順で行いました。
- トライオートETFで取り扱いのある全29銘柄から収益が見込める銘柄を絞り込む
- 絞り込んだ銘柄を実際に運用してみて収益性を確かめる
- バックテストの結果とも突き合わせる
- 結果のまとめ
では見ていきましょう。
トライオートETFの有効性検証① 全29銘柄から有望な銘柄を選別
2021年12月現在、トライオートETFで取引可能な銘柄は、以下の29銘柄です。
そのうち、ナスダック100トリプル(TQQQ)は、現在、新規で自動売買を発注することができず、手動発注(裁量取引)のみが可能です。
このすべてを実際に運用して、結果を見るのは現実的に難しいため、以下の基準で銘柄を絞り込みました。
- 値動きの方向が長期的に上昇基調か
- 価格変動が大きいか(ボラティリティが高いか)
銘柄を絞り込んだ基準については、以降で詳しく説明します。
トライオートETFの銘柄の絞り込み基準その1:長期的に上昇基調である銘柄
この選別基準ついては、以下のようなご意見もあるかと思います。
別に右肩上がりじゃなくても、一定の値幅の中で大きく値動きがあればいいんじゃないの?
ですが、一定の値幅(=レンジ)を形成している銘柄でしたら、通貨の自動売買でいくらでも選ぶことができます。
トライオートETFの特徴であり強みは、レンジを形成せず、長期的に上昇するアメリカの株価指数のような銘柄を自動売買できる点です。
右肩上がりの銘柄を選択することで、FXの自動売買では一般的な「大きな含み損」と「いつまでも決済されずマイナススワップを垂れ流すポジション」を常に抱えながら運用を続けるストレスがありません。
もちろん、トライオートETFでも一時的な値下がりによる含み損はあります。
ただし、長期的に右肩上がりの銘柄を選んでいる限り、やはり大きな含み損は「一時的」です。
あえてこのトライオートETFの特徴を採用しないメリットはないでしょう。
そのため、銘柄選定は価格が上昇基調で運用ストレスが少ないものから行うこととしました。
評価は、長期チャートを見てS&P500のように強い上昇傾向が見られるものを◎、その傾向が弱くなるにつれ、○→△→☓としています。
ちょっと主観的な評価だけど、ご了承を。
トライオートETFの銘柄の絞り込み基準その2:価格変動が大きい銘柄か
値動きの大きさが自動売買の利益の源泉ですから、この選別基準については、あらためて説明するまでもないでしょう。
値動きの大きさの評価は、過去5年の一日の最大値動きの中央値で行いました。
銘柄の価格に対して値動きが2%以上になったものを◎、2~1%を○、1%未満を☓としています。
なお、値動きの大きさについては、通貨の例に当てはめてみるとイメージがつきやすいかもしれません。
値動きが大きく、「殺人通貨」とも揶揄されるイギリスポンドと円の通貨ペアで同じデータを当てはめると0.9%程度です。
ここから、1%以上の1日あたりの最大値動きがあれば上々と言えるかと思います。
トライオートETFの全29銘柄→5つの有望銘柄に絞り込む
以上の2つの基準をトライオートETFの全29銘柄にあてはめてみました。
結果は以下のとおりです。
銘柄候補の絞り込み時点では、破壊的イノベーション(ARKK)、恐怖指数ETN(VXX)、シルバー(SLV)の3銘柄はまだトライオートETFのラインナップに追加されていませんでした。
しかし、どちらにせよ「長期的に上昇傾向」という基準からすると、3銘柄とも上記の通り選外です。
破壊的イノベーション(ARK)の2020年の値上がりはすごいけど、最近の下がりっぷり↓を見ちゃうとなかなか推せないよね。
以上の結果から、以下の5つの銘柄をピックアップして自動売買を走らせてみることにしました。
トライオートETFの有効性検証② おすすめ有望銘柄を4ヶ月運用してみた
選別した有望銘柄5つと、比較対象であるナスダック100トリプル(TQQQ)を実際に約4ヶ月走らせてみました。
結果は以下のとおりです。
これだけだとわかりにくいので、利確幅設定を含め、毎週の決済額の平均を下記にまとめました。
最初はS&P500ダブル(SSO)、金融株トリプル(FAS)と比較対象のナスダック100トリプル(TQQQ)のみのトライアルでしたが、より広範な検証とするため、8月から残りの3銘柄を加えています。
また、設定について、どれも1ドルごとに「買い」の自動売買を敷き詰める点は変わりませんが、ナスダック100(QQQ)のみ、過去の変動率(1.2%)と銘柄価格(検証開始当時300ドル台後半)から考えて利確幅を5ドルとしています。
同様の理由で、ナスダック100トリプル(TQQQ)と金融株トリプル(FAS)も利確幅を広げても良かったのですが、比較のわかりやすさを優先し、他の銘柄と同じ3ドルの利確幅としました。
ですので、適正な利確幅にすれば、TQQQとFASはより高い収益性となった可能性があります。
ところで、この4ヶ月の運用の結果だけを見ると、ポストTQQQどころか、トライオートETFと一番相性がいいのは実は金融株トリプル(FAS)だったのではないかと疑いが出てきてしまいました。
ナスダック100トリプル(TQQQ)ってもともとそんなに大した銘柄じゃなかったってこと?
いえいえ、落ち着いてもう少しデータを加えてみましょう。
自動売買に必要な資金から、トライオートETFの各ETF銘柄の収益性を検証してみる
加えるのは、各自動売買の設定の維持に必要な必要資金です。
この種の検証の定石として、必要資金の計算は「リーマンショック級の暴落が起きても耐えられる資金」としました。
各銘柄の直近の最高値から、リーマンショックの際に各銘柄が実際に下落した割合をもとに計算しています。
この必要資金から、各銘柄のテスト期間中の利回りを出した結果は下記のとおりです。
これを見てもやはり、金融株トリプル(FAS)の強さが際立っています。
FASの強さは、検証期間中、アメリカの金融緩和縮小、金利上昇をめぐって金融業界に追い風が吹きつつあった背景も影響しているかと思います。
ナスダック100トリプル(TQQQ)が2位である点も変わりませんが、3位以降の順位に変動が生じました。
決済金額だけで見ると好調だったナスダック100トリプル(QQQ)が大きく順位を落としています。
他の銘柄に比べて一口あたりの価格が大きい点が重しになり、暴落を想定した必要資金が増え、利回りを悪くしてしまったようです。
同じことは上昇しすぎて184ドルになっちゃったナスダック100トリプル(TQQQ)にも当てはまりそうだね。
そう、それも金融株トリプル(FAS)の利回りがナスダック100トリプル(TQQQ)を上回った理由のひとつだと思います。
そしてQQQに比べると決済額は少なかったものの、価格も低位で必要資金も少ないS&P500ダブル(SSO)が3番手につけました。
FXのリピート系自動売買とトライオートETFの選抜5銘柄の収益性を比較してみる
同じ期間のFXのリピート系自動売買の結果とも収益性を比較してみます。
期間中、順調に決済があり、かつ、後述のバックテストのデータも取れるオーストラリアドル/円とカナダドル/円ペアのデータを採用しました。
結果は以下のとおりです。
期間中、オーストラリアドル/円ペアよりも好調な決済が続いたカナダドル/円ペアで見ても、利回りは8%とトライオートETFの金融株トリプル(FAS)の運用が上回る結果となりました。
金融株トリプル(FAS)の利益率は良いけど、あとはカナダドル/円(CAD/JPY)ペアに負けちゃうなんてがっかり。ま、一銘柄だけでもトライオートETFの利回りが良いならいいけど。
もう少し材料を加えると、トライオートETFの良いところがもっと見えてきますよ。
次は、トライオートETFとリピート系FX自動売買で扱う銘柄の違いに立ち返って検証を進めてみます。
リピート系FX自動売買とトライオートETF銘柄のもう一つの重要な違い ー暴落時の値動きー
ここで、リピート系FX自動売買とトライオートETFの違いをあらためて整理していきます。
トライオートETFの銘柄選定の際にも書いたとおり、それぞれ下記の値動きの傾向を持つ銘柄を採用しています。
- リピート系FX自動売買=長期間にわたり一定の範囲内で価格の上下を繰り返す銘柄
- トライオートETF=長期間にわたり値上がりを続ける銘柄
しかし、リピート系FX自動売買とトライオートETFの銘柄には、利回りに大きく影響を与える重要な違いがもうひとつあります。
それは暴落時の値動きの傾向です。
- リピート系FX自動売買の通貨ペア=リーマンショックでもコロナショックでも、値動きの大きさはあまり変わらない
- トライオートETFの選抜銘柄=ショックの内容に応じ、下落率は大きく異なる
具体的には以下の通りです。
通貨ペアでは、「100年に一度の暴落」と言われるリーマンショックではなくとも、「10年に一度」レベルのコロナショックでも下落率はそれほど変わらないことがわかります。
一方、ETFではリーマンショックとコロナショックでは下落幅が大きく異なります。
「自分が生きている間に『次のリーマンショック』は起きない」と考えられるなら、より少ない必要資金で運用し、そのぶん利回りを高くすることができます。
想定するショック相場が必要資金量、利回りに与える影響
これを踏まえて、コロナショックを想定した必要資金量で利回りを計算した結果も出してみます。
銘柄ごとの必要資金と利回りは下記のとおりです。
金融株トリプル(FAS)の利回りがさらに上がり、S&P500ダブル(SSO)、テクノロジー株(XLK)もカナダドル/円ペア(CAD/JPY)と同等の利益率になりました。
(…金融株トリプル(FAS)がさらに魅力的になったけど、同じくらいの利回りになるなら、右肩上がりのS&P500ダブル(SSO)、テクノロジー株(XLK)のほうが通貨よりいいかも…)
トライオートETFの有望5銘柄を4ヶ月運用した結果のまとめ
以下は、ナスダック100トリプル(TQQQ)の代わりとなりうる有望銘柄5つをトライオートETFで実際に4ヶ月運用した結果のまとめです。
トライオートETFの有効性検証③ バックテストから見るETF銘柄の収益性
次はトライオートETFで出すことのできるバックテストの結果を見ていきます。
なお、のちほど解説しますが、トライオートETFのバックテストにはさまざまな制約があり、その制約下で半ば強引に行っているものですので、厳密な結果というにはいささか心もとないところがあります。
ですので、あくまで銘柄ごとの傾向を捉える参考として見ていただければと思います。
- バックテスト期間は2020年1月から12月3日までの約2年間
- 自動売買の設定は、約4ヶ月の運用時と同じ利確幅で、等間隔に注文を敷き詰めるものとした
なお、バックテストのシステム上の制限をクリアするため、以下の便宜的な手段を取りました。
トライオートETFのバックテストの制限とは?
トライオートETFのバックテスト上の制限とは、以下のようなものです。
- 検証できる自動売買の注文数は100個まで
- 現在の銘柄の価格を含まない注文設定のバックテストはできない
制限1.により、1ドルごとの注文とすると、期間中の値動き幅が100ドルを超える銘柄ではバックテストが完全再現できません。(100個以上の注文が必要になるため)
また、 制限1.を回避するために、100ドルの値幅ごとに複数回に分けてバックテストを行おうとしても、制限2.に引っかかってしまいます。
具体的には、現在の銘柄の価格が仮に180ドルだとすると、100~200ドルの間のテストはできても、0ドル~100ドルのテストはエラーとなり、入力すらできません。
現在価格180ドルを含んでいないためです。
0ドル~100ドルのテストができれば、2つの結果を足せばいいだけなのに、惜しい!!
トライオートETFのバックテストの制限の「便宜的な」回避方法
このトライオートETFのバックテストの制限を回避した方法を、ナスダックナスダック100(QQQ)を例にとって説明していきます。
2020年1月からのQQQの値動きの幅は140ドル~410ドル=270ドルであるため、通常の方法ではバックテストの結果を出すことができません。
そのため、以下のように無理くりバックテストの結果を出すことにしました。
- 140ドルから270ドルの間に100個の注文を敷き詰める
- 1.のバックテストの結果を2.7倍する
- 2.を140ドルから270ドルの間に1ドル間隔で注文を敷き詰めた場合の結果とする
必ずしも正確な数字ではありませんが、近しい数字にはなっているかと思います。
ご了承ください。
トライオートETFとリピート系FX銘柄のバックテスト結果を比較してみる
このバックテストの結果と、リーマン、コロナの各ショック相場にそなえた必要証拠金を掛け合わせると、年間の利回りは以下のようになりました。
先ほど同様に、オーストラリアドル/円(AUD/JPY)、カナダドル/円(CAD/JPY)のバックテストの結果とも比較できるようにしています。
バックテストでも、特にETF銘柄において、いずれの暴落を想定するかにより、結果に大きな違いが生じました。
リーマンショックベースでは、通貨の2ペアの結果がETF銘柄に比べて有利になっています。
2通貨ペアを利回りで上回ったのはテクノロジー株(XLK)のみです。
しかし、コロナショックを想定した運用とすると、ナスダック100(QQQ)、 テクノロジー株(XLK)が2通貨ペアの利回りを大きく突き放しました。
- テスト期間中に起きたコロナショック時の下落幅が他銘柄に比べ小さく、必要資金を減らしたこと
- コロナショック後に堅調に値上がりを続けたこと
がナスダック100(QQQ)、 テクノロジー株(XLK)の結果にプラスになったようです。
S&P500ダブル(SSO)と金融株トリプル(FAS)のバックテスト結果はなぜ振るわなかった?
一方、S&P500ダブル(SSO)と金融株トリプル(FAS)の利回りが見劣りするようになった理由は考える必要がありそうです。
この理由としては、コロナショックによって各銘柄はそれぞれ32ドルと14ドルまで下落しており、下落からしばらくはバックテストで設定した利確幅の3ドルがうまく決済に結びついていないためだと思われます。
一日の最大値動きが3%近くの金融株トリプル(FAS)だって、FASの価格自体が14ドルだったら14ドル×3%の0.42ドルの値動きにしかならないからね。
そのため、その時々の価格に応じた利確幅を変更していれば、 S&P500ダブル(SSO)と金融株トリプル(FAS)のテスト期間中の利回りは十分に上振れ余地があったと言えるでしょう。
なお、コロナショックを想定したS&P500ダブル(SSO)と金融株トリプル(FAS)のバックテストの利回りが逆転した背景には、
- 金融株トリプル(FAS)はショック時の値下がり幅が大きく、運用に多くの資金を必要とする
- 金融株トリプル(FAS)の価格の上昇傾向がSSOに比べて弱い
といった両銘柄の性格の違いも挙げられるかと思います。
トライオートETFのバックテストのまとめ
バックテストの結果からも、「10年に一度」レベルのショック相場を想定した資金量での運用であれば、トライオートETFの利回りはリピート系FX自動売買と同等以上になると言えそうです。
さらに、繰り返しとなりますが、トライオートETFで採用する銘柄は基本的に価格の上昇が続きます。
そのため、リピート系FX自動売買の通貨ペアの運用にありがちな「数十万円単位の含み損」と「いつまでも決済されず、マイナスのスワップポイントをひたすら溜め込んでいく問題児ポジション」に悩まされることなく、ストレスフリーで右肩上がりの運用ができるという点も、トライオートETFで運用を行う大きなメリットです。
トライオートETFの有効性検証④ まとめ:TQQQの自動売買はなくても魅力は十分
これまで行ったトライオートETFの検証結果をまとめると以下のようになります。
というわけで、トライオートETFをめぐる一連の検証結果の結論です。
トライオートETFは、ナスダック100トリプル(TQQQ)の自動売買がなくてもおすすめできる資産運用方法です。
ナスダック100トリプル(TQQQ)の自動売買の新規受付停止のニュースを受けて、運用を見送っていた方々も、これで迷わずスタートできるのではないかと思います。
(…リピート系FX自動売買より、トライオートETFの方が良いかも。顔には出さないようにしてるけど。あとで口座開設しておこうかしら…)
良い結果が出た金融株トリプル(FAS)、S&P500ダブル(SSO)、テクノロジー株(XLK)の運用結果は引き続き、随時、アップデートしていきます。
それでは皆様のよりよい資産運用をお祈りして、グッドフォーチュン!
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