オーディオブックで面白い本はないかな?
本当に面白いおすすめがあれば教えて!
これまで様々なジャンルの本を1000冊以上読んできた本好きで、最近はオーディオブックにはまっている私がおすすめ本を紹介します。
特にaudibleは使い倒して、無事「マスター」の称号もいただきました。
そんな私が選ぶ、自信ありの厳選ラインナップ10選、聴いて損はさせません。
そしてどれも聴き放題対象!
ぜひ気軽にお試ししてみて、オーディオブックをより楽しんでください。
- 面白さに自信ありの10冊を「3つのジャンル」からご紹介
- 10冊ともすべてオーディオブック聴き放題サービス対象
- それぞれオーディオブックの詳しいデータも網羅
なお、いまなら国内最大手の2社がオーディオブック聴き放題の無料体験を提供中です。
オーディオブック体験がまだの方は、この機会に無料で聴く読書をはじめてみては?
- 本好きによる厳選オーディオブックおすすめ本① 小説・物語編
- 本好きによる厳選オーディオブックおすすめ本② ビジネス・教養編
- 本好きによる厳選オーディオブックおすすめ本③ 投資編
- オーディオブックのおすすめ本10冊のまとめと無料体験のご案内
本好きによる厳選オーディオブックおすすめ本① 小説・物語編
まずは小説・物語のカテゴリーから。
現代日本につながる超一級のノンフィクション ― 『忘れられた日本人』(宮本常一)
作品名 | 忘れられた日本人 |
出版社 | 岩波書店 |
Amazon評価(レビュー数) | ☆4.3(416) |
著者 | 宮本 常一 |
ナレーター | 中川 典 |
再生時間 | 10 時間 7 分 |
※Amazon評価・レビュー数は2022年6月時点
さっそく一般的には「文学・物語」のカテゴリーに数えられることが少ない作品からのスタートです。
ですが、今回あらためてオーディオブックを聴いてみて、「やはりこれは文学だ」と思い直しました。
中に収められているのは、著者が主に西日本の村落を歩きまわり、収集してきた伝承や村の営み、人々の生活といった雑多なもの。
昔の田舎の生活を聞き書きした本がそんなに面白いの?
その疑問はごもっとも。
でもこれがめちゃくちゃに面白いんです!
初版が出版された1960年当時ですら「忘れられた日本人」とされた各地の「老人たち」から照らされる日本の村落の風景は、21世紀を生きている現代とはまったく異なる別の国の物語のようにも思えるほど。
それでいて、どこか地続きで現代にもつながっている不思議な感覚があります。
なお、巻末の「あとがき」を読むとわかりますが、これらの「老人たちからの聞き書き」は、膨大な量の調査の上に成り立っています。
しっかりと背景が押さえられているからこそ、何気ない村々の様子にも豊かな文脈を読み取ることができるのです。
『忘れられた日本人』の高い文学性
そして一般的には「民俗学の本」として学術的に扱われることの多い本書ですが、あえて「文学・物語」として推している理由は、著者の文章のうまさ。
決して難しい言い回しを使っているわけではないのですが、著者が歩いた古い日本の村落や、「老人たち」の語りを通じて示される「さらに昔の日本の風景」があざやかにイメージされます。
特に文学的なハイライトは「土佐源氏」。
詩的な深みさえ感じられ、並の小説ではとても太刀打ちできないレベルに。
『忘れられた日本人』のあらすじと補足情報
以下は『忘れられた日本人』のあらすじと目次です。
昭和14年以来、日本全国をくまなく歩き、各地の民間伝承を克明に調査した著者(1907-81)が、文化を築き支えてきた伝承者=老人達がどのような環境に生きてきたかを、古老たち自身の語るライフヒストリーをまじえて生き生きと描く。辺境の地で黙々と生きる日本人の存在を歴史の舞台にうかびあがらせた宮本民俗学の代表作。(解説=網野善彦)
岩波文庫版表紙より
- 対馬にて
- 村の寄りあい
- 名倉談義
- 子供をさがす
- 女の世間
- 土佐源氏
- 土佐寺川夜話
- 梶田富五郎翁
- 私の祖父
- 世間師(一)
- 世間師(二)
- 文字をもつ伝承者(一)
- 文字をもつ伝承者(二)
- あとがき
- 解説(網野善彦)
『忘れられた日本人』が聴き放題で聴けるなんて、「オーディオブックってすごい!」と個人的には大いに感動した一冊です。
意図的に消された事実をどこまで読み取れる? ― 『悪童日記』(アゴタ・クリストフ)
作品名 | 悪童日記 |
出版社 | 早川書房 |
Amazon評価(レビュー数) | ☆4.5(327) |
著者 | アゴタ・クリストフ(翻訳:堀 茂樹) |
ナレーター | くわばら あきら |
再生時間 | 6 時間 27 分 |
※Amazon評価・レビュー数は2022年6月時点
次は海外から。
ハンガリーからスイスのフランス語圏に移住した著者が、初めてフランス語で書いた本がこの『悪童日記』。
この処女作が特別なプロモーションもなしに口コミでじわじわと評判を集め、40以上の言語に訳される世界的な作品になりました。
それだけ普遍的で力のある本なんだね。
この本は「双子の少年が見聞きしたことを書き落とした日記」という体裁になっていて、簡潔で心理描写を排した文章は一見、ライトな児童文学みたいに見える。
だけど、中身はぜんぜん子供向けでも、シンプルでもない。
双子の少年が切り取ってくる世界は重層的で、かなり読み応えがあります。
『悪童日記』の見た目の印象とその裏側にあるもの
物語の舞台は、ヨーロッパのどこかの国境の「小さな町」。
日夜爆撃にさらされ続けている「大きな町」の戦火はここまで及んでいませんが、戦争は確実にこの「小さな町」にも影を落とし、住民の生活や内面世界にも影響を及ぼしています。
当然、双子の少年が直面するのも、飢えや孤独、暴力、不条理、死といった重いテーマを伴いますが、この本が世界中の人々に響く「強さ」を持つ理由は、主題の重さではありません。
戦時の窮乏でより「生(なま)」の状態に置かれた人間の悲喜哀楽も同時に描いており、「即物的」とも言える描写は、安易な感情移入も、善悪の判断も受け付けず、極めて多様性のある読書体験をもたらしてくれます。
個人的なこの本の読みどころのひとつは、「書かれていないこと」。
地名などの固有名詞もないシンプルな描写の背景にはしっかりとした史実や設定があるし、「非人間的」とも言われる双子の記述には、人間らしさや双子の思いが透けて見えるところがたくさんあります。
どこまでそれらを読み取れるか、読者と作者の真剣勝負!
『悪童日記』のあらすじと補足情報
以下は『悪童日記』のあらすじとデータです。
戦争が激しさを増し、双子の「ぼくら」は、小さな町に住むおばあちゃんのもとへ疎開した。その日から、ぼくらの過酷な日々が始まった。人間の醜さや哀しさ、世の不条理―非情な現実を目にするたびに、ぼくらはそれを克明に日記にしるす。戦争が暗い影を落とすなか、ぼくらはしたたかに生き抜いていく。人間の真実をえぐる圧倒的筆力で読書界に感動の嵐を巻き起こした、ハンガリー生まれの女性亡命作家の衝撃の処女作。
ハヤカワepi文庫版裏表紙より
ちなみに『悪童日記』は続編として、『ふたりの証拠』、『第三の嘘』が出版されていて全3部作になりますが、本としての完成度は『悪童日記』がダントツです。
audibleの聴き放題では他の2作品も聴けるけど、正直、『悪童日記』だけでいいかも…。
明治も令和も、人の世に生きる苦悩は同じ ― 『夏目漱石名作集』(夏目漱石)
作品名 | 夏目漱石名作集 |
出版社 | パンローリング株式会社 |
Amazon評価(レビュー数) | ☆4.3(55) |
著者 | 夏目 漱石 |
ナレーター | 佐々木 健、西村 健志、野口 晃、渡辺 知明、蘇武 健治、中島 定吉、城山 森人 |
再生時間 | 130 時間 46 分 |
※Amazon評価・レビュー数は2022年6月時点
次は日本の古典を。
誰もが知っている明治〜大正を生きた文豪、でも読んだことがある人は意外に少ないのではないでしょうか?
100年以上前の本をいま読んでどうするの?
それに昔の本の言葉使いって読みにくくない?
いえいえ、長く生き残っている文学には、それだけ時代を超えた普遍的な力が宿っています。
技術革新で社会は変わっても、そこに生きる人間の根源的な欲求や悩みは変わらないもの。
夏目漱石が書いているのもまさに、私たちと同じように自己と他者、個人と組織、あこがれと現実のはざまに葛藤する明治~大正に生きる人々の内奥です。
それに文章について言えば、100年以上前の古い言葉が入っていても、不思議と自然に意味が入ってくるのが夏目漱石のすごいところ。
現代作家の浅田次郎も、夏目漱石の文章を書き写して小説を書く練習をしていたそうです。
「国民作家」としてたくさんの人に読みつがれている夏目漱石の文章は、お手本となり、現代の日本語を担っている部分も多いと思います。
「難しそう」と食わず嫌いをしないで、とりあえず聴いてみるのがおすすめです。
端正かつ装飾も効いた夏目漱石の文章は、きっと「わかりやすい!」とびっくりするはず。
『夏目漱石名作集』の補足情報
最初の長編小説『吾輩は猫である』から絶筆『明暗』まで珠玉の14作品を発表順に収録
西欧的近代における自我や孤独、エゴイズム、愛する人や家族との確執……文学を通して人間の本質を追求し続けた夏目漱石の作品は、現代でもなお多くの 人々の胸を打ち、広く読み継がれています。近代日本を代表する文学者であり、また思想家でもある漱石の言葉を落ち着いた朗読でご堪能下さい。
パンローリングの作品紹介より
- 吾輩は猫である
- 倫敦塔
- 坊ちゃん
- 草枕
- 虞美人草
- 夢十夜
- 三四郎
- それから
- 門
- 行人
- 私の個人主義
- こころ
- 道草
- 明暗
順番に聴いていくのもいいけど、どんどん人間の内面世界に分け入っていくような『それから』以降の作品が個人的にはおすすめ!
日本が誇る現代文学の最高峰 ― 『ねじまき鳥クロニクル』(村上春樹)
作品名 | ねじまき鳥クロニクル |
出版社 | 新潮社 |
Amazon評価(レビュー数) | ☆4.2(290)(第1部) |
著者 | 村上 春樹 |
ナレーター | 藤木 直人 |
再生時間 | 30 時間 39 分(第1部~第3部合計) |
※Amazon評価・レビュー数は2022年6月時点
古典の次は現代文学に戻ります。
著者・村上春樹といえば、毎年のようにノーベル文学賞候補にも上がるほど、いまや日本を代表する作家となりました。
あまりに有名すぎて、読んだことのない人すら好き嫌いを語っているのを見ることがあるよね。
そんな村上春樹の作品の中で、個人的に最高傑作だと思うのが、この『ねじまき鳥クロニクル』。
東京都世田谷区に住む「僕」と妻の「クミコ」の物語から、様々な人物との出会いを経ながら、時間も場所も超え、複雑で大きな物語につながっていく迫力と勢いは圧巻。
さらには「僕」が壁を抜けて「ここではない世界」にまで足を踏み入れたりします。
こういう制限のない仕掛けを使って物語を構築できるのは、現代文学ならでは!
そして、村上春樹の文章についてしばしば言及される比喩表現の多彩さ、面白さもこの作品で頂点をきわめています。
夏目漱石とはまた異なる文章ですが、いずれも非常に読みやすい日本語である点は共通です。
読みやすいけど読みにくい『ねじまき鳥クロニクル』の複雑さ
ただ、読みやすい文章とは裏腹に、物語自体はかなり複雑。
全3部からなる本書で、時空を移し、語り手を変え、異世界にさえ足を踏み入れながら「僕」がたどりつこうとしているのはどこなのか?
読み手が試される小説です。
どこかスタンダードな物語に飽きたら、ぜひ、この骨太で複雑な、底のない物語をおすすめします。
『ねじまき鳥クロニクル』の補足情報
「人が死ぬのって、素敵よね」彼女は僕のすぐ耳もとでしゃべっていたので、その言葉はあたたかい湿った息と一緒に僕の体内にそっともぐりこんできた。「どうして?」と僕は訊いた。娘はまるで封をするように僕の唇の上に指を一本置いた。「質問はしないで」と彼女は言った。「それから目も開けないでね。わかった?」僕は彼女の声と同じくらい小さくうなずいた。(本文より)
新潮文庫『第1部 泥棒かささぎ編』裏表紙より
なお、村上春樹の作品は、audibleでかなり充実した聴き放題のラインナップになっています。
以下の記事では、その中からおすすめの10作品をピックアップしたので、こちらも参考にしてみてください。
今後は講談社から出版されている『ダンス・ダンス・ダンス』のオーディオブック化にも期待!(村上春樹作品で2番目に好き)
本好きによる厳選オーディオブックおすすめ本② ビジネス・教養編
次はビジネスや教養に関する本です。
知らずに騙される前に、本書で理論武装を ― 『ファスト&スロー』(ダニエル・カーネマン)
作品名 | ファスト&スロー |
出版社 | 早川書房 |
Amazon評価(レビュー数) | ☆4.3(832)(上巻) |
著者 | ダニエル・カーネマン(翻訳:村井 章子) |
ナレーター | 岡本 昇 |
再生時間 | 27 時間 25 分(上下巻合計) |
※Amazon評価・レビュー数は2022年6月時点
「2002年にノーベル経済学賞を受賞した著者」と聞くと、いかにも小難しい本を想像してしまいますが、本書は極めて明快でわかりやすく、「人間が陥りやすい意思決定上の誤り」がつぎつぎと紹介されてきます。
あまりにわかりやすい説明から、するすると耳から内容が入ってきますが、ふと恐ろしくなるのが「これらの理論がすでに悪用され、私たちも日常的に騙され続けているのではないか」ということ。
ぜったいこの研究成果は企業や政府、いろいろなところで利用されてるでしょ!
ですが、知ることこそ自分を守る第一歩。
どんな状況や方法で判断を誤りやすくなるのかを知ることで、転びやすくなっている自分にも気がつくことができます。
本書を読んでから気をつけて世の中をながめてみると、そこここに私たちの認知の隙をねらった罠が仕掛けられていることに気づくかもしれません。
また、一方で本書の理論をうまく使えば、日常を円滑に動かすこともできるようになるはず。
次で紹介する『ハイパワー・マーケティング』とあわせれば、ビジネスにも役立つことうけあいです。
でもくれぐれも悪用はしないでくださいね。
『ファスト&スロー』の補足情報
整理整頓好きの青年が図書館司書である確率は高い?30ドルを確実にもらうか、80%の確率で45ドルの方がよいか?はたしてあなたは合理的に正しい判断を行なっているか、本書の設問はそれを意識するきっかけとなる。人が判断エラーに陥るパターンや理由を、行動経済学・認知心理学的実験で徹底解明。心理学者にしてノーベル経済学賞受賞の著者が、幸福の感じ方から投資家・起業家の心理までわかりやすく伝える。
ハヤカワ・ノンフィクション文庫版裏表紙より
<上巻>
第1部 二つのシステム
第1章 登場するキャラクター―システム1 (速い思考)とシステム2(遅い思考)
第2章 注意と努力―衝動的で直感的なシステム1
第3章 怠け者のコントローラー―論理思考能力を備えたシステム2
第4章 連想マシン―私たちを誘導するプライム(先行刺激)
第5章 認知容易性―慣れ親しんだものが好き
第6章 基準、驚き、因果関係―システム1のすばらしさと限界
第7章 結論に飛びつくマシン―自分が見たものがすべて
第8章 判断はこう下される―サムの頭のよさを身長に換算したら?
第9章 より簡単な質問に答える―ターゲット質問とヒューリスティック質問
まとめ
第2部 ヒューリスティクスとバイアス
第10章 少数の法則―統計に関する直感を疑え
第11章 アンカー―数字による暗示
第12章 利用可能性ヒューリスティック―手近な例には要注意
第13章 利用可能性、感情、リスク―専門家と一般市民の意見が対立したとき
第14章 トム・Wの専攻―「代表性」と「基準率」
第15章 リンダ―「もっともらしさ」による錯誤
第16章 原因と統計―驚くべき事実と驚くべき事例
第17章 平均への回帰―誉めても叱っても結果は同じ
第18章 直感的予測の修正―バイアスを取り除くには
第3部 自信過剰
第19章 わかったつもり―後知恵とハロー効果
第20章 妥当性の錯覚―自信は当てにならない
第21章 直感 対 アルゴリズム―専門家の判断は統計より劣る
<下巻>
第3部 自信過剰(承前)
第22章 エキスパートの直感は信用できるか―直感とスキル
第23章 外部情報に基づくアプローチ―なぜ予想ははずれるのか
第24章 資本主義の原動力―楽観的な起業家
第4部 選択
第25章 ベルヌーイの誤り―効用は「参照点」からの変化に左右される
第26章 プロスペクト理論―「参照点」と「損失回避」という二つのツール
第27章 保有効果―使用目的の財と交換目的の財
第28章 悪い出来事―利益を得るより損失を避けたい
第29章 四分割パターン―私たちがリスクを追うとき
第30章 めったにない出来事―「分母の無視」による過大な評価
第31章 リスクポリシー―リスクを伴う決定を総合的に扱う
第32章 メンタル・アカウンティング―日々の生活を切り盛りする「心理会計」
第33章 選好の逆転―単独評価と並列評価の不一致
第34章 フレームと客観的事実―エコンのように合理的にはなれない
第5部 二つの自己
第35章 二つの自己―「経験する自己」と「記憶する自己」
第36章 人生は物語―エンディングがすべてを決める
第37章「経験する自己」の幸福感―しあわせはお金で買えますか?
第38章 人生について考える―幸福の感じ方
結論
謝辞
解説/友野典男
原注
付録B 選択、価値、フレーム
付録A 不確実性下における判断―ヒューリスティクスとバイアス
著者の次回作『Noise』もaudibleの読み放題に加わるみたい。
これは楽しみです!
マーケティングアイディアの源泉にして幾多のビジネス書のネタ本 ― 『ハイパワー・マーケティング』(ジェイ・エイブラハム)
作品名 | 新訳 ハイパワー・マーケティング あなたのビジネスを加速させる「力」の見つけ方 |
出版社 | KADOKAWA |
Amazon評価(レビュー数) | ☆4.3(582) |
著者 | ジェイ・エイブラハム(翻訳:小山 竜央) |
ナレーター | 堂坂 晃三 |
再生時間 | 10 時間 36 分 |
※Amazon評価・レビュー数は2022年6月時点
マーケティングの古典にして、様々なビジネス本の元ネタになっている本書。
もしこの本を読んでみて、「聞いたことある話だな」と思ったら、2000年に出版されたこちらが元祖だと思ったほうが良いかもしれません。
本書で語られる「ダイレクト・レスポンス・マーケティング(DRM)」の戦略は、ネットビジネスや通販といった限定された分野だけでなく、広義に直接顧客と対峙するすべての人に有効なものです。
どのような方法で顧客との関係を作り、販売につなげていくかという流れが明確に体系化されているのは、DRM戦略の立役者でもある著者ならでは。
本書で取り上げられている「アドオン」、「再活性化」、「UPS」といった概念を頭に入れておくだけでも、日々の活動は違ったものになるはずです。
『ファスト&スロー』との併読で効果増大は間違いなし!
『ハイパワー・マーケティング』の補足説明
「これから、あなたの周囲にあり、収入を増やしたり成功を手にしたりするために役立つ“結びつき”に気付く方法をお教えしましょう。実証済みの戦略とその利用方法の詳細な実例をお話しします。これを実践すれば、【収入は増え】、【成功を手にする】ことができます。そして【人生は一変する】ことでしょう。
KADOKAWAの作品紹介より
あなたは、それが【あまりにも簡単】なことにショック覚えるに違いありません。出来過ぎた話だと思いますが?そうではありません。
では、【収入増加】に関して、とてつもなく複雑に見える問題を、どれほど簡単でシンプルに解決できるか、お見せしましょう。」(本書より若干編集して抜粋)
まえがき
第1章 あなたの飛行計画~どこに向かうか、全体像を理解する
第2章 現状を把握する~現在の強みと弱みを知る
第3章 関係性に投資しよう~クライアントの顧客生涯価値を計算する
第4章 人と違う強みを探す~USPを構築する
第5章 断ることができないオファー~購入を妨げる最大の障害を取り除くリスクリバーサル
第6章 魚のいるところで釣りをせよ~質の高い見込み客にターゲットを絞る
第7章 気前のよいクライアント~過去のクライアントとの関係性を再活性化する
第8章 アドオンのチャンス~クライアントの満足度と取引額を増加させる
第9章 ダイレクトメールは1万人の営業部隊~セールスレターと活字でクライアントを獲得しよう
第10章 テレマーケティングの力~電話を活用してクライアントを獲得する
第11章 ビッグ・プロフィット・ドットコム~インターネットを活用して販売する
第12章 私の商品をあなたの商品と交換しませんか~商品やサービスをお金として活用するバーター
第13章 足を踏み外さないために~最小のリスクで最大の結果を得るためにテストをする
第14章 事後コミュニケーション~あなたの富を築く人々と連絡を取ろう
第15章 ビジネスの極意、卓越論~クライアントとチームの人生を高め、信頼関係を築く方法
第16章 マインドセット~無敵になるために
第17章 考える以上にあなたは多くを持っている~あなたの成功を定義しよう
知的興奮に満ちた人類史の旅へようこそ ― 『サピエンス全史』(ユヴァル・ノア・ハラリ)
作品名 | サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福 |
出版社 | 河出書房新社 |
Amazon評価(レビュー数) | ☆4.4(1599)(上巻) |
著者 | ユヴァル・ノア・ハラリ(翻訳:柴田 裕之) |
ナレーター | 和村 康市 |
再生時間 | 23 時間 06 分 |
※Amazon評価・レビュー数は2022年6月時点
2011年にヘブライ語で出版後、50カ国語以上に訳され、世界的なベストセラーになっていることはご存知の通り。
著者が本書で目指すのは、人類誕生から現代に至る「大きな歴史」を書き上げようとするもの。
アフリカに住んでいたヒト属の一種「ホモ・サピエンス」が、どのように外界や他の種を凌駕する影響力を獲得し、やがては世界を覆う発展を遂げるようになったかを巡る壮大な物語です。
著者のバックグラウンドである歴史学含めた人文科学に、自然科学の視点も駆使しながら語られる人類の年代記は、様々な事例に溢れ、トリビア的な知識の宝庫でもあります。
専門外の分野に関する記述の正確性には批判もありますが、人文科学と自然科学をひとりで統合しようとする著者の試みは実にエキサイティング。
純粋に読んで楽しく、幅広いトピックスに考えさせられ、読んで損のない一冊です。
『サピエンス全史』の補足説明
国家、貨幣、企業……虚構が他人との協力を可能にし、文明をもたらした! ではその文明は人類を幸福にしたのだろうか? 現代世界を鋭くえぐる、50カ国以上で刊行の世界的ベストセラー!
河出書房新社の作品紹介より
目次
【上巻】
第1部 認知革命
【1】唯一生き延びた人類種
【2】虚構が協力を可能にした
【3】狩猟採集民の豊かな暮らし
【4】史上最も危険な種
第2部 農業革命
【5】農耕がもたらした繁栄と悲劇
【6】神話による社会の拡大
【7】書記体系の発明
【8】想像上のヒエラルキーと差別
第3部 人類の統一
【9】統一へ向かう世界
【10】最強の征服者、貨幣
【11】グローバル化を進める帝国のビジョン
【下巻】
【12】宗教という超人間的秩序
【13】歴史の必然と謎めいた選択
第4部 科学革命
【14】無知の発見と近代科学の成立
【15】科学と帝国の融合
【16】拡大するパイという資本主義のマジック
【17】産業の推進力
【18】国家と市場経済がもたらした世界平和
【19】文明は人間を幸福にしたのか
【20】超ホモ・サピエンスの時代へ
あとがき 神になった動物
著者はこのあとに『ホモ・デウス』、『21 Lessons』も上梓していますが、繰り返しの内容も多く、エッセンスはすべて1冊目に入っているので、読むならだんぜん『サピエンス全史』がおすすめ!
なお、『ホモ・デウス』、『21 Lessons』もaudibleでは聴き放題サービスの対象作品になっています。
物理学的思考で経済学のエッセンスを抽出― 『現代経済学の直観的方法』(長沼伸一郎)
作品名 | 現代経済学の直観的方法 |
出版社 | 講談社 |
Amazon評価(レビュー数) | ☆4.6(436) |
著者 | 長沼 伸一郎 |
ナレーター | 中川 典 |
再生時間 | 14 時間 8 分 |
※Amazon評価・レビュー数は2022年6月時点
なにか重要な気がして何冊も経済学の本を手にとって来たけど、いまいち身についていないんだよね。
という方に朗報です。
物理学が専門の著者が、そのエッセンシャルな思考で経済学の本質をこの1冊で提示してくれました。
マクロ経済学や貿易、為替といったそれぞれ単体で書けば9冊にもなる内容を一冊にまとめたという本書は、経済学を概観するにはもってこい。
9冊分の内容を1冊に濃縮してもわかりやすい構成は、物理学の抽象化、モデル化思考が生きているのでしょう。
一般教養としては本書1冊でも十分な内容ですが、さらに深く学びたい人のためにも専門書への橋渡しとなる本です。
『現代経済学の直観的方法』の補足情報
わかりやすくて、おもしろくて、そして深い。
講談社の作品紹介より
世界の状況が刻々と変わる現在、文系理系問わず、経済を知らずに世の中を知ることはできない。
そんな時代に「経済をなんとなく避けてきた」読書人におすすめ。
かつて『物理数学の直観的方法』で理系世界に一大センセーションを巻き起こした著者による、この一冊で資本主義の本質をガツっと直観的につかむ、どこにもなかった経済書。
第1章 資本主義はなぜ止まれないのか
第2章 農業経済はなぜ敗退するのか
第3章 インフレとデフレのメカニズム
第4章 貿易はなぜ拡大するのか
第5章 ケインズ経済学とは何だったのか
第6章 貨幣はなぜ増殖するのか
第7章 ドルはなぜ国際経済に君臨したのか
第8章 仮想通貨とブロックチェーン
第9章 資本主義経済の将来はどこへ向かうのか
国家を動かす人たちは、世界をどう見ているのか? ― 『新しい地政学』(北岡 伸一、細谷 雄一他)
作品名 | 新しい地政学 |
出版社 | 東洋経済新報社 |
Amazon評価(レビュー数) | ☆4.4(93) |
著者 | 北岡 伸一、細谷 雄一他 |
ナレーター | 宮本 淳 |
再生時間 | 12 時間 21 分 |
※Amazon評価・レビュー数は2022年6月時点
『現代経済学の直観的方法』が経済の観点から抽象的に、大局的に世界をとらえようとする本であるとすれば、この『新しい地政学』は地理的条件をベースに、より具体的に世界を考察する本です。
もともと地政学は、国家戦略といった20世紀の大きな思考のベースになってきた学問ですが、「新しい」と銘打つ本書では、その枠組に「グローバル化、技術・情報革新」といった前世紀にはなかった新しい視点を加え、地政学を刷新していこうという試みがなされています。
その「新しい地政学」の試みにふさわしく、本書では9人の研究者による「古い地政学」の乗り越えに関する論考や、人権、国際協力といった新たな視点を提示する論考が集められています。
新しい地政学の視点からのロシア、アフリカ、中東、日本のエリアスタディ―も掲載されており、昨今の世界情勢を見る上で、マストな一冊です。
原書の出版は2020年2月ですが、この時点で現在のロシア情勢につながる分析がしっかりなされています。
『新しい地政学』の補足情報
トランプ米大統領が進める「アメリカ・ファースト」の政策や、中国の急速な軍備増強、ブレグジットなどによって、世界政治の不透明性が増している。
東洋経済新報社の作品紹介より
そもそも冷戦後の世界は、リベラルな国際秩序が発展し、また民主主義や法の支配、人権というような普遍主義的な価値が世界に拡大していくことが想定されていた。しかしそのような楽観的な国際秩序観はいまや後退し、世界のそれぞれの地域で、力がものをいう地政学が回帰している。
地政学の視座は、戦後長い期間、日本では忘れられていた。他方で、グローバル化が進み、相互依存が進展した現在における地政学は、一世紀前にイギリスの地理学者マッキンダーが想定していたものとは似て非なるものである。
本書では、それを「新しい地政学」と称して、そのような「新しい地政学」の誕生と、それにともなう国際秩序の変化を、当代気鋭の研究者たちが様々な角度から明らかにしていく。
序章 古い地政学と新しい地政学(北岡伸一)
<第Ⅰ部 理論的に考える>
第1章 新しい地政学の時代へ――冷戦後における国際秩序の転換(細谷雄一)
第2章 武器としての経済力とその限界――経済と地政学(田所昌幸)
第3章 国際紛争の全体図と性格――紛争解決と地政学(篠田英朗)
<第Ⅱ部 規範・制度で考える>
第4章 人権の普遍性とその濫用の危険性――人権概念の発展と地政学(熊谷奈緒子)
第5章 国際協力という可能性――グローバル・ガバナンスと地政学(詫摩佳代)
<第Ⅲ部 地域で考える>
第6章 プーチンのグランド・ストラテジーと「狭間の政治学」――ロシアと地政学(廣瀬陽子)
第7章 「アフリカの角」と地政学(遠藤 貢)
第8章 「非国家主体」の台頭と「地域大国」――中東と地政学(池内 恵)
終章 中曽根康弘の地政学――1950年の世界一周旅行(北岡 伸一)
この本を読むと、「中国の一帯一路は、世界島のハートランドを支配しようとしてるものでは?」なんてことに思いをめぐらせるようになります。
地政学の視点は、どうやらいまも世界を動かそうとしている人たちの思考のベースになっているのかもしれません。
本好きによる厳選オーディオブックおすすめ本③ 投資編
一応、このブログの大きなテーマのひとつなので、投資に関する本も取り上げておきます。
ウォーレン・バフェットの投資哲学を作った本 ― 『賢明なる投資家』(ベンジャミン・グレアム)
作品名 | 賢明なる投資家 – 割安株の見つけ方とバリュー投資を成功させる方法 |
出版社 | パンローリング株式会社 |
Amazon評価(レビュー数) | ☆4.2(185) |
著者 | ベンジャミン・グレアム(翻訳:土光 篤洋) |
ナレーター | 寺戸 麻季子 |
再生時間 | 12 時間 28 分 |
※Amazon評価・レビュー数は2022年6月時点
投資に関する本を何か一冊だけ選ぶとすればこれでしょう。
著者は、あのウォーレン・バフェットが若き日に師事したベンジャミン・グレアム。
投資先の企業価値の安全性と、価格のバリュー性を重視するグレアムのスタイルは、現在のバフェットの投資にもしっかり受け継がれています。
私が本書をおすすめするポイントは、「投資のリスクをいかに減らすか」という考え方が様々な角度から書かれている点です。
個人的には投資の勉強は不要で、米国のインデックスファンドにお金を預けて長期放置でいいと考えますが、それでも「投資における安全性の最重視」は基本的な考え方として身につけておくべきものだと思います。
この一冊を読み、投資の価値観を定めることができれば、ついつい欲を出してうわついた投資に走ってしまい、大損をするようなこともなくなるでしょう。
そうした意味で、きわめて投資効果が高い本だと言えます。
『賢明なる投資家』の補足情報
ウォーレン・バフェットが師と仰ぎ、尊敬したベンジャミン・グレアムが残した「バリュー投資」の最高傑作! 株式と債券の配分方法、だれも気づいていない将来伸びる「魅力のない二流企業株」や「割安株」の見つけ方を伝授する
パンローリングの作品紹介より
20世紀の最も偉大な投資アドバイザー、ベンジャミン・グレアムが残した永遠のベストセラー『賢明なる投資家』は、世界中の何十万という人々に読まれ、大きな影響を与えてきた。1949年に初版が上梓されて以来、「バリュー投資」という独自の普遍的な投資原理によって、ベンジャミン・グレアムの著作は常に信頼の厚い投資手引書であり続けている。その投資原理は、投資家たちが重大なミスを犯す可能性から身を守るために一役買い、また彼らが安心して投資を続けられる長期戦略を練るための方法を指南している。
投資と投機―賢明なる投資家が手に入れるもの
投資家とインフレーション
株式市場の歴史―一九七二年初めの株価
一般的なポートフォリオ戦略―保守的投資家
防衛的投資家のための株式選択
積極的投資家の分散投資―消極的な方針
積極的投資家の投資―積極的な方針
投資家と株式市場の変動
投資ファンドへの投資
投資家とそのアドバイザー
一般投資家のための証券分析
一株当たり利益に関して
上場四企業の比較
防衛的投資家の株式銘柄選択
転換証券とワラント
特別な四社の例
八組の企業比較
株主と経営陣―配当方針
投資の中心的概念「安全域」
ちなみに『賢明なる投資家』のなかでは個別株の分析についても書かれていますが、ここだけは要注意!
この本を読むと、自分も鋭い銘柄選定ができてしまいそうな錯覚にとらわれ、個別株に手を出してしまいそうになりますが、個別株投資はそもそも難易度が非常に高いもの。
考え方のエッセンスだけ拝借して、堅実にインデックス投資を行っていきましょう。
個別株投資の罠については、こちらで詳しく書いています↓
オーディオブックのおすすめ本10冊のまとめと無料体験のご案内
読書好きの私が厳選した10冊はいかがでしたでしょうか。
あまり馴染みのない本もあったかと思いますが、本記事が新しい本を手に取るきっかけとなり、皆さんの読書体験をより豊かにする一助になっていれば幸いです。
これらがすべて聴き放題の対象なのですから、オーディオブックは読書好きにはたまらないサービスですよね。
<本記事で紹介した厳選おすすめ本10選のまとめ>
作品名 | 著者 |
忘れられた日本人 | 宮本 常一 |
悪童日記 | アゴタ・クリストフ |
夏目漱石名作集 | 夏目 漱石 |
ねじまき鳥クロニクル | 村上 春樹 |
ファスト&スロー | ダニエル カーネマン |
ハイパワー・マーケティング | ジェイ・エイブラハム |
サピエンス全史 | ユヴァル・ノア・ハラリ |
現代経済学の直観的方法 | 長沼 伸一郎 |
新しい地政学 | 北岡 伸一、細谷 雄一他 |
賢明なる投資家 | ベンジャミン・グレアム |
なお、10冊すべてのオーディオブックはAmazonのaudibleで聴き放題ですが、うち、太文字で記しているものはaudiobook.jpでも聴き放題になっています。
もし、「audibleの聴き放題の無料体験はお試ししてしまった」という方は、audiobook.jpの無料体験で聴いてみるのもよいでしょう。
その他のオーディオブック関係の参考記事
以下では、聴き放題作品に着目して、Amazon audibleとaudiobook.jpそれぞれについて記事を書いています。
本記事で紹介した以外にも、おすすめできる聴き放題作品が両社にはありますので、参考にしてみてください。
また、若干わかりにくいaudible無料体験の解約方法についてはこちらでまとめました。
とりあえず無料体験だけ、という方は読んでおいてください。
解約方法はこれでばっちりです。
それでは良い読書ライフを!